先日、漫画家を目指している20代の女子から、聞いた話。
「ネームを担当編集に送って、4週間以上レスがないんです」
電話をしても「外出してます」「直帰なんです」などで返答はないそう。「受け取りました」の連絡すらない。当然、頼まれてもないのに勝手に送りつけたとか、そういう事情ではない。ちゃんと打ち合わせを経て描かれたネームである。
「あちらも忙しそうだし、そういうもんなんですよね、この業界……」
なかなか返答に窮する。
正直「そういうもん」かもしれない。実際、連載してても、レスポンスが悪いことはいくらでもあった。連載終了後の事務手続きの連絡なんて、まともにレスが来たことのほうが少ない。まして新人であれば(といってもこの彼女は、すでに300ページ近くの掲載経験があるけど)、いわんやだろう。そしてそれが平気で許されちゃう業界のムードみたいなもんもある。それどころか、自分が連絡をしていないルーズさを「それでも這い上がってくる奴だけが才能とやる気のある奴だ」と自分勝手にすり替えて、正当化しちゃう人もいる。漫画業界以外で仕事をすると、そのひどさがよくわかる。うん、ほんとにひどい。
もちろん「ちゃんとレスください」と彼女が担当編集にお願いすることも出来る。でも彼女はしないだろう。「めんどくさい奴」と思われるのが怖いから。
とりあえず先方に、そのネームを他の雑誌社にも見せたいです、という旨の連絡をして、それでも連絡なければ、他所に持っていくのはどうだろう、とアドバイス。それすら怖いかもしれないけれど、いつ来るかわからない返事を待って、時間を無駄にする方が遥かに怖い。
自分の仕事相手であれば、「受け取りました。○日までにレスします」くらいの対応はしてほしいと思う。ちなみに今、いっしょにお仕事させてもらってる人たちは、当然のようにそういう対応をしてくれてる。これはとてもありがたいことなのかもしれない。